日本馬がSaudi Cupで勝つためにはー戦略について考察

2022年サウジカップ

テーオーケインズやマルシュロレーヌが、米国調教馬やミシュリフに先着する方法を考えてみました。

結論は

  • テーオーケインズは、先頭から20メートル後ろで直線に入ればOK
  • マルシュはディスタフみたくロンスパ

なぜそうなのか解説します

過去2回のサウジカップに参戦した日本馬は3頭。ゴールドドリーム・クリソベリル・チュウワウィザードです。残念ながら掲示板にもとどきませんでした。
サウジのダートは米国より1秒半よけいに時計がかかりますが、日本の砂より速い馬場でもありません
ではどうしたら先着できるのか?考察します。
まず、砂漠の国へ遠征した3頭がキングアブドラアジーズ競馬場で残した成績を、一覧にしました。走破時計はそろって日本より遅いとこから始めます。

日本馬の戦績

チャンピオンズCとサウジカップの時計比較

左まわりと距離は同じ。サウジカップはワンターンで、チャンピオンズCはコーナー4回のコースです。乱暴な比較ながら、中京の方がみんな速いんだわ・・助走ぶんを足してもサウジの方が遅いよ
馬名着順チャンピオンズCSaudiCup
2020ゴールドドリーム61:48.51:51.5
クリソベリル71:48.51:51.8
2021チュウワウィザード91:49.31:52.9
走破タイム計測方式の違いを考慮して1秒半の修正をかけても、全頭サウジの方が遅い時計です。
中央競馬のダートは、シルト1%砂99%の配合でそれなりにパワーが要るといいます。2ターンでちょっとした登坂もある中京より、平坦なワンターンのサウジの馬場のほうが走りやすく速いと思ってましたが、幻想でした。
アメリカの馬も日本の馬も、アドバンテージがないのはいっしょ。日本馬が勝つには、相手の弱みにつけこむしかないと思います。
アメリカ調教馬の弱いところは

ペース配分と長めの直線への対応力です

米国調教馬のペース配分

2022年サウジカップのペース予測

ペース職人はアメリカの馬だよ。前でレースを引っ張りそうな馬は3頭いる。アートコレクターとミッドナイトバーボン、カントリーグラマー。3番めは長期休みあけだけど、前で競馬する

米国逃げ馬のペースラップ~G1馬が1800mを走るときのペース配分

基本アメリカの馬は発走後の200メートルが最速で、この区間でトップスピードが出ます。最高速度はだいたい65から66km/h。最初の区間がスピードマックスで、そこから徐々に先細って行きます。
スタートするなり、どりゃ~!全力疾走してゴールまで保ったもん勝ち競馬です。
これは米国調教馬の頭がおかしいからではなく、直線が短い国の最も合理的な戦法として定着してます。
出た途端コーナーなどのトラックでは乱れが生じますが、1ターンでもコーナー4つでもペース配分に大きな違いは見られません。
普通のG1馬は、時速62~61キロ台(11秒台)で1500メートルあたりまで巡航し、以降はバテて60キロをきり、ゴール前200メートルは55から56キロ台に速度が落ちます。直線で叩きあっててもスピードは衰えています
アートコレクター1:48.8523.5423.7224.5124.2412.84
カントリーグラマー1:48.4723.2323.7523.6924.7613.04
前半飛ばしすぎると早めに疲れ、スピードも早めにゆるみ、最後の200メートルが13秒台に減速する傾向があります。

トップホースはどうか?

Life Is GoodとFlightline

ライフイズグッドがペカサスWCを勝ったときは、発後の200メートルが63km/h、1200メートルまでは62km/くらいで巡航してました。やはりスピードがあります。そこからはさすがに58キロペースに減速し、最後の200メートルは楽勝モードで53キロにゆるみました。
フライトラインはもっと異常。ペガサスのライフイズグッドの最高速度が66.3km/hに対し、この馬のG1マリブSのトップスピードは73.7km/hでした。スプリントとはいえ立派なバケモノです。2頭ともサウジカップは走らないので安心です。

テーオーケインズとマルシュロレーヌが勝つためには

最後の200メートルで抜け

やっぱ、出るなりぶっ飛ばしていくアメリカ馬と同じ戦い方ではかなわない。スピードが落ちる直線で捕らえるしかないように思います。
自国の直線より長かろうが、アメリカの馬はダッシュしてバテ比べする走り方しかできない。事実、ミシュリフはこの戦法で勝ちました。

マルシュロレーヌ 6歳牝

BCディスタフの勝ちタイムは1:47.67。逃げた馬が21.84 23.15と序盤からありえないペースで飛ばしたため、先頭から6位で800を通過した馬は全頭直線の手前で終わりました。
残り6~200メートルのレースラップ25.58秒は、おそらく外から追い込んだマルシュロレーヌ。最後のハロン12.39秒はクラリエールのラップではないかと思います。マルシュも12秒台では?
マルシュロレーヌはロンスパできるし、門別ブリーダーズゴールドCの深い砂でもスパートできるので、活かせるポジションで走ってもらいたいです。

テーオーケインズ 5歳牡

今年のチャンピオンズCの勝利時計は1:49.7
アートコレクター1:48.8523.5423.7224.5124.2412.84
カントリーグラマー1:48.4723.2323.7523.6924.7613.04
テーオーケインズ(レースラップ)1:49.723.625.724.424.012.0
前例から予測すると、テーオーケインズのサウジカップ走破時計は1分52秒台で、上位はムリゲーです。
チャンピオンズCの800通過ペースは49秒台。こんなペースに慣れてる馬が無理してアメリカ勢に付いていくと、ゴール前の脚が使えなくなり終了です。
ただし、上がり35.5秒は時速換算60.8km/hで断然アメリカの馬より速い。これを武器にするしかなさそう。
テーオーケインズが時速60キロで400メートル長の直線走れたら、つまり24秒で走破すると56キロのアメリカ勢は373メートルしか進まないから、27メートル差がひらく。

フロントランナーから20メートル後方に待機して脚をためれば、ゴール前で追いつき交わす事ができます。
そうそう上手くはいかないかもですが、追走で無駄脚を使うより、直線に賭けるほうがチャンスは増すんじゃないでしょうか。

特例 コパノキッキング

2021年のリヤドダートスプリントの覇者です。この馬だけ、サウジの時計のほうが速かったと記憶してます。現地の追いきりで、おっ!と魅入るような走りっぷりが印象的でした。


リヤドの馬場が走りやすいタイプなのでしょうか。後方待機から直線で華麗なスパートを披露して勝ちました。

この馬に、このダートが合う理由は何なのか?これからもフィットする馬をみつけて、共通項を探りたいと思います。
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