【ラシックス禁止】アメリカの馬と戦う日本馬に吹く追い風

サウジカップ

当日のラシックス注射を禁止したら、一番人気の馬が飛んだ。まるで別馬の走りに終わったランナーが複数います。

ラシックスフリーで開催されたペガサスワールドカップの話です。アメリカもラシックス離れに大きく舵を切りました。
  • 2020年 2歳馬のレース前24時間以内のラシックス禁止
  • 2021年 ステークス出走の全馬に適用
サウジカップやドバイ国際競走も、レース当日のラシックス使用は禁止です。世界一の賞金額を誇るサウジカップでは、レースの48時間前から使えません。
米国も2021年から、ケンタッキダービーやブリーダースカップをはじめ、ステークス競走も当日使用禁止になります。
2020年1月25日、先駆けてラシックスフリー開催のペガサスワールドカップで、何が起こったのかを紹介します。
サウジカップやドバイWCで、米国のトップホースが飛ぶかもしれませんよ。

2020年ペガサスワールドカップは当日ラシックス禁止

有終の美を飾るはずだったオマハビーチと、対抗馬のスパントゥランがスクラッチ。残り10頭で開催です。

一番人気がまるで別馬

一番人気の⑥ハイヤーパワー。昨夏に5馬身突き放してG1を勝ち、BCクラシックでも3着の5歳牡馬だよ
ペガサスWC直前、ハイヤーパワーの調子は絶好調。「まずここで勝つ!」
陣営の輝く瞳がその先に見すえるのは、破格の賞金がぶら下がるサウジカップや、ドバイワールドカップです。

>>⑥ハイヤーパワーまさかの大失速<<


あろうことか、ハイヤーパワーは直線ターンの手前で、早くも息があがってしまいました。そこからは、沖へ向かう船のように視界から遠ざかり、着順はビリでした。
ラシックスを抜き別馬になった姿がここにあります。
「敗因はラシックスか?」「知らねーよ」と返したサドラー調教師と彼の馬は、中東遠征の野望を捨てひっそりとカリフォルニアへ帰って行きました。

出走10頭すべてがラシックス馬

ペガサスWCの出走馬全頭は、これまで当日ラシックス注射をしてレースに臨んできました。
勝ち馬のムーチョグストも例外ではありません。彼はラシックス抜きでも問題ないと、実証してみせました。ハイヤーパワーはその逆です。
ほかにも、日頃と違った馬はかなりいます。ペガサス・ターフ1番人気で11着に飛んだ、ウィズアウトパロルもそれです。
軽く出血したタックスは9着入線でした。彼もまた中東を目指すことはないでしょう。
州により違いはあるようですが、アメリカでは鼻出血すると半年出走できず、カウント3回で競走馬生命が絶たれます。
ちゃんとした厩舎で、下に記した②はなさそうですが、③は大いに考えられます。
「ラシックス無しでも平気な馬なのか?」実際に走らせてみなければ、調教師でさえ予測できないのが難しいとこなのです。
サウジカップのアメリカ勢は、みんなラシックスを注射してレースに出てる馬だよ。抜いたらハイヤーパワーになるか勝ち馬みたいになるかは、誰にも分かんないのよ

ラシックスって何なの?





フロセミドという薬で、人間にも動物にも投与されます。ちなみに、デットーリ騎手も減量目的で使用していたことがあります。
馬に使うと

  • ①鼻出血の予防
  • ②利尿作用でドーピング成分排出
  • ③走るときラクになる
競走馬はレースの2時間から4時間前に、最大5cc分量で注射をして出走します。
これで肺への血流が抑えられ、激しい運動をしても肺から出血しにくくなります。血流が細るので、馬の呼吸もらくになりパフォーマンスが上がるのでしょう。

2020年のペガサスWCと鼻出血

ダートと芝を合わせた出走馬22頭のうち、鼻から出血した馬はいませんでした。3頭に軽い内出血が見られただけです。
いつもの走りと違った馬はかなりいます。筆頭がハイヤーパワーであり、ペガサス・ターフ1番人気で、11着に飛んだウィズアウトパロルです。
出走馬の調教師に、「今後のレースでもラシックスは使用しないか?」と問いかけたところ、YESと答えたトレイナーはひとりもいませんでした。
ペガサスWCターフで調教馬が5着になったコックス師はインタビューでこのように答えています

In America, if everyone else is using Lasix、I’ll do it. I wouldn’t handicap my horse by not giving it to them

「アメリカで、ほかの馬がみなラシックスを使うなら俺もやるよ。やらないことで、自分の馬にハンデを課したくないからね」

サウジカップとラシックス

優勝候補のマキシマムセキュリティやマッキンジーは、レース当日にラシックスを使用する馬です。
タシトゥスもミッドナイトビズーもムーチョグストも同様です。ムーチョグストだけはラシックス無しでも走れることが分かりました。
ほかの馬については未知数です。
トップホースたちは、ペガサスWC出走を断念したスパントゥランのように、隔日でラシックスを抜いて追いきりを行ない、慣れさせる調教を行っているのかもしれません。
しかし、調教で1800mの全力疾走は出来ないし、蓋をあけてみなければ調教師にも分からないと語っています。
たいへんだよ~上位がハイヤーパワーしたら、クリソベリルとゴールドドリームの着順があがっちゃう

「サウジカップ」クリソベリルとゴールドドリームは何着になりそう?
日本時間の3月1日午前2:40分、ダート世界王者を決めるサウジカップのゲートが開きます。クリソベリルとゴールドドリームは、アメリカの強豪馬に勝てるのか?ランナーたちが1800メートル左回りで叩いた走破時計を比較し、日本馬の着順を占いました。

欧州勢とラシックス

英国やフランス調教馬

英国競馬協会BHAは、レース前48時間以内に競走馬にラシックスを使用するのを禁じています。このルールは、海外の遠征先でも適用されます。
フランスはより厳しく、レースの4日前から使えません。なので鼻出血した馬がよく米国へ売られるのだそうです。
欧州はラシックス反対、アメリカは賛成という簡単な構図でもありません。アイルランド競馬連盟が遠征先での当日使用を禁止していないのか、かの有名な厩舎は使います。

アイルランドのオブライエン厩舎

エイダン・オブライエン師は、アメリカへ遠征させた調教馬に当日ラシックスを使用しています。
地球の反対側まで遠征し、4大陸を行ったり来たりして奮闘するマジックワンドは、使用してはいないようです。少なくともペガサスワWCターフでは、2回とも使ってはいませんでした。ほかのレースは不明。
アーリントンミリオンで4着になったフリーティングは、レース前に注射しています。
BCフィリーズメア・ターフでシスターチャーリーを破った、息子の調教馬イリデッサも当日ラシックスを投与。
フランスから米国へ渡ったシスターチャーリーは鼻出血の経験はありませんが、使用派です。
英ダービー馬でありながら、あちこち遠征に励むアンソニーヴァンダイクも、過去2回ブリーダーズカップ出走時にラシックス注射を行っています。
アメリカでは3着と好走しましたが、同じくスピードが要求される香港ヴァーズでは、直線で進まず残念な成績でした。香港ではラシックス禁止なのが関係があるのかもしれません。
当日するしないでは、パフォーマンスに差がでるのでしょうね。

日本馬とラシックス

ラシックス・サリックスは商標です。成分名のフロセミドは、JRAの使用禁止指定リストに入っています。どこでラシックスが禁止されようが、影響はありません。
中東遠征で鼻出血を恐れる馬の陣営は、国内でも遠征先でも禁止指定されていない天然由来のスピルリナなどで対策を講じることでしょう。
強敵たちのラシックス離れは、日本馬にはプラスだよね~ムーチョグストみたいにノープロブレムになるかもだけど、サウジカップで別馬になったら、次のドバイへ駒をすすめることもないよね
2月29日、リヤドの4角にアクセル全開で突撃してきたトップホースたちの誰かが、直線でスルスル後退をはじめたら・・ラシックス抜きの影響かもしれませんね。お行儀悪いけどニヤリ。
日本ではあまり知られていない、ラシックスの話題です。クリソベリルやゴールドドリームファンの皆さんに、ぜひとも教えてあげてくださいね。下の方でSNSへリンクできます。

「サウジカップ」クリソベリルとゴールドドリームは何着になりそう?
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