ロンシャン競馬場・凱旋門賞コースの形状・高低差・騎手の戦略

海外競馬場高低差
ロンシャン競馬場には5種類のトラックがあります。
■大・中・小の周回コース
■引込線から発走する1400mのコース
■千直コース
まず、凱旋門賞で走る外回り周回コースGrande Pisteについて説明します。
次に帯同馬の参戦を踏まえ、短め距離のコース高低差も紹介します。誤解されていますが、短かめコースに登坂はありません。下りスタートで登坂はないので、高低差の観点では 難易度は低めです。
①Grande Pisteの形状と高低差
②フランストップ騎手たちはどう乗るか
③マイル・スプリント・千直コースの高低差を視覚化
ロンシャンで大坂登るのは、2000メートル以上のレースだけ。マイル以下は下りコースだから、道悪できる帯同馬連れて行くのいいかも。そこそこの馬でも日本馬は獲得賞金高いから足切られない(笑

凱旋門賞のコース

コース形状

■右回りワンターンの2400m
■発走後400メートルは平坦、木立の手前から登りスタート
■500メートルで10m↑、同じく500メートルで10m↓ 平均勾配2%
■坂の終点からゴールポストまでは約900メートル。偽りの直線400メートル 本直線530メートル
■残り450m地点からオープンストレッチが開かれ、内に6メートルスペースができる。イン走行有利

凱旋門賞コース高低差


前半ペース

前半ペースの計測地点1400メートルは、坂を降りたカーブ付近です。
速ペース:1分26~27秒台
遅ペース:1分36秒前後
因みに2019年の凱旋門賞は、馬場数値4.1と酷い重馬場でした。逃げたガイヤースは1分27秒台の速いペースでここを通過して自滅し、後に続いた多くの馬がゴール前で脚を失いました。

騎手はどう乗る?

ペリエ・ギュイヨン・ジャルネ騎手の助言

騎手目線のコース紹介動画で、ペリエ騎手らが乗り方について語っており訳してみました。

  • ゲート後は平坦だ。登りが控えているので、ここはゆっくり静かに走る
  • 右手に木立が見え、直線コースと交差するあたりが坂の起点
  • 坂で前に出たり、慌てて飛ばしたりしてはならない。少し前目のポジションにつけたい
  • 次の木立から下り。偽りの直線に降りてきたら勝負に向けて気構えるが、まだ頑張らない。ここで急ぐとゴール前でツケが来る
  • ちょっと登る箇所が直線の入口。ここで気合を入れる。残り400、300過ぎラスト200メートルにすべてを注ぐ
日本競馬からするとドスローで直線をめざし、最後の1ハロンでバチバチ叩きあう競馬です。

日本馬は凱旋門賞をどう走ったか

クロノジェネシス・タイトルホルダー・スルーセブンシーズ

総大将格のクロノジェネシスとタイトルホルダーは馬場に泣かされました。レース中に出した最高スピードが、クロノ60.26km/h、タイトルホルダーが63.83km/h。日本では想像できないほど遅く、しかも発走後の最初のハロンで計時されています。
一方でスルーセブンシーズは運も味方につけました。最高スピードは優勝したエースインパクトと遜色のない69.23km/h。ゴール前ラスト1ハロンで出してます。

レースを牽引したタイトルホルダーは、直線の入口で力尽きた。クロノジェネシスは最後のハロンで脚を失った。2頭にもスルーセブンシーズの馬場を走らせてあげたかったね

馬場状態馬名1400m通過走破タイム上がり
4.2不良クロノジェネシス7着1:34.222:38.5437.97秒
3.9重馬場タイトルホルダー11着1:29.102:38.1242.73秒
3.3稍重スルーセブンシーズ4着1:28.282:25.9433.30秒

圧倒的な追い込み・差し有利

珍しい逃げ馬勝利

距離が長くパワーとスタミナを要する馬場なので、逃げきりは難しいのでしょう。

1996年凱旋門賞・エリシオ&ペリエの逃走劇

逃げた馬が勝ったのは、1996年が最後かもしれません。(あれば教えて下さい)
1996年凱旋門賞・動画
終始先頭でリードしたエリシオのスパートは、④棒過ぎあたり。一気に加速し突き放すと、ペリエ騎手はゴール手前でガッツポーズ。2着との着差は5馬身、時計は2:29.9でした。
ペリエ騎手は、逃げる競馬を日本で習得したと語っていました。

フランスギャロの馬場対策

凱旋門賞の開催前後は、天候が崩れやすく馬場が荒れるので、2021年フランスギャロが腰をあげました。7月14日以降、芝を保護する施策が行われています。
・コース全体で内ラチから6メートルに仮柵をおいた
・直線はオープンストレッチを含む12メートル範囲を仮柵で保護
・オーバーシードで芝密度を上げた
・機械で路面に密な間隔で穴を穿ったり、土中に酸素を注入したりで水はけ対策
・凱旋門賞前日の降雨しだいで芝を10センチに刈揃える予定

水はけが良くなり、道悪でも内よりを進めば、馬は以前より走りやすくなりそう。と期待しましたが、現実には馬場は粘り効果はイマイチでした。

マイル戦以下のコース高低差

凱旋門賞前日と当日の重賞レース

G2ダニエル・ヴィルデンシュタイン賞1600m

開催日:10/2日
優勝賞金:約1480万円※5着まで賞金あり
勝利時計:良馬場は1:36~38秒台 道悪は程度に応じて1:40~44秒台
凱旋門賞と同じトラックを走りますが、坂の頂上のちょい手前から発走します。コースは前半下り、残り900メートルは平坦です。

G1フォレ賞1400m

開催日:10/3日
優勝賞金:約2600万円※5着まで賞金あり
勝利時計:良馬場は1:17秒前後 道悪は程度に応じて1:20~24秒台
凱旋門賞コースの坂てっぺん奥にある引込線から発走。最初の2ハロンで5メートル高低差を下り、あとは平坦。アスコットの登坂直線コースで殿負けしたMake Believeが世界記録で走破。

G1ラベイドロンシャン賞1000m

開催日:10/3日
優勝賞金:約2600万円※5着まで賞金あり
勝利時計:良馬場は54~55秒前後 道悪は程度に応じて57~58秒台

ロンシャン競馬場1000m直線コースの高低差

凱旋門賞の坂の下りの途中付近が千直コースのスタート地点。全コース高低差は2メートル以内。
まさか2歳馬帯同させないと思うので、3歳以上が出走できる重賞とコースをピックアップしました。短いレースのコースは登坂がないので、帯同馬は勝っちゃうかもですよ。
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