デアリングタクトの強さの秘密を徹底解剖

デアリングタクト

これほどまでにキリリとした、カッコいい牝馬がいたでしょうか?

3歳クラシック路線は、JK年代の可愛いさかり。しかし、デアリングタクトの印象は違います。見ためは牡馬だし、どんな馬場でもイノシシのように突ゴールポストに突っ込んで来る姿には、畏怖の念すら感じます。
同世代の女の子に敵なし、そんなデアリングタクトの強さの秘密を解き明かします。

デアリングタクトの武器

瞬発力を支える足の回転数

ほかの馬が止まってるように見える。この馬メチャメチャ足の回転が速いのです。ギアが入るやいなや回転数が上がり、バツグンの瞬発力を発揮します
ゴール前200メートルの、1秒間の足の回転数を一覧にしました。
レース馬場状態回転数
新馬戦京都(良)2.47
エルフィンステークス京都(良)2.45
桜花賞阪神(重)2.31
オークス東京(良)2.37
サラブレッドの平均値は2.3以下です。
平坦な良馬場の直線ラスト1ハロンを、デアリングタクトは平均27から28回転させてゴールします。これをラップで割ったものが1秒あたりの回転数。新馬戦でもうインディチャンプ並です
デアリングタクトが出てくる前、世代女王と目されていたレシステンシアの数値は2.41です。
0.05回程度の僅差でも、20歩進めば1完歩分の距離が縮まります。可哀想なレシステンシアは、常に差されてしまう宿命です。
ストライドが大きい馬は、滞空時間が長いから回転数は小さくなるよ。同世代のピッチ走法の馬に敵はいないから、成長した速い飛び馬がでてくるかどうかですかね

距離も馬場もノープロブレム

桜花賞のトラックは、ラスト1ハロンに2メートルの上り勾配がある阪神競馬場でした。しかもパワーが要る重馬場。
ここではゴール前200メートル走破に、32回転させました。進みづらかったのか、1秒あたり2.31に落ちています。しかし、他の馬が歩いているように見えるほど、デアリングタクトの足はクルクル動いています。
オークスでは距離が2400メートルに伸びました。ラスト150メートルで抜け出すまで厳しいマークをうけ、外へ出して貰えませんでした。抜けてからは抜群の瞬発力で、ゴール前の足は1秒間に2.37回転しています。
悪路でも、距離が長くても回転力はあまり落ちません。ほかの馬が力を伸ばしてくるか、大飛び馬でも出てこない限り、同世代女子にデアリングタクトを脅かす敵はみつかりません。

岡田牧雄氏が語る強さの秘密

えりもの夜間放牧

岡田スタッド代表がインタビューで語っています
もともと背中に力があり、筋肉の質の良さが光っていたデアリングタクトを鍛えたのは、えりもの夜間放牧だとコメントされています。えりもの牧場とはどんなところでしょう?

ノルマンディーファームえりも分場


  • 総面積は皇居の約7割
  • 1区画の広さは東京ドーム約6.5個分
  • 鹿だらけで熊やアライグマもいる
  • 地盤がかたく自然に足腰が鍛えられる
ツールでえりも分場の地形を測量してみると、勾配も大きいです。怖がりの馬たちをビビらせる動物にかこまれ、夜どおし動かなくてはならない環境に放りこむことで、自然と馬の体力増強がなされたのではないかと岡田氏は語っています。
2018年のえりも放牧開始は、着実に結果に繋がってきているようです。
もちろん、過酷な環境にネをあげる馬もいます。そんな馬は日高に返されますが、デアリングタクトは最後まで残った馬の1頭でした。
オークス後は、北海道で放牧中です。また、えりも分場で夜間放牧してそうですね。8月になったら福島のファームへ戻り、秋のローズステークスから秋華賞へのローテになる模様です

デアリングタクトの死角

父ゆずりのハイテンション

父のエピファネイアは、行きたがりのかかり馬で、日本ダービーでキズナに惜敗したときも、道中はかかりっぱなしでした。
前をタラタラ追走する馬に乗りかかった程で、この気性は娘にも受け継がれています。
陣営
陣営
レースになるとテンションが上がってハラハラします。 輪乗りからゲートが開くまで。そこまで落ちついていたら、何も心配することはありません
レースを使っていくごとに、テンションも高くなったといいます。最近は松山ジョッキーが調教で乗ると、もう行きたがる(汗
直線まで馬をなだめられなければ、デアリングタクトは乗りこなせない。牝馬の松山ジョッキーの手腕がますます問われます。

オークスのパドック発汗

>>2020年オークス・デアリングタクト2冠達成<<


オークスのパドックでは、バケツ被ったみたいに汗びっしょりだったよ。初の長距離輸送に緊張発汗。コーナーではぶつけられて横向くし。最後のハロン棒まで完全マークで閉じ込められたし、終わったと思ったもん
パドックで後ろを歩かされた汗だく状態を見て、血の気がひいたファンは多かったと思います。パトロールビデオを見ると、右往左往してやっと抜け出すまで、ガッチガチの総マークで閉じ込められています。
それでも、直線の脚が何もかも吹き飛ばして2冠目が達成されました。素晴らしい馬です。

海外遠征は4歳から解禁

アーモンドアイ級に育てたい

岡田牧雄氏は、デアリングタクトの海外遠征解禁は4歳とコメントしています。
コロナ禍が終わり、来年のドバイあたりで、欧州や米国の強い女の子と対決できたら最高ですね。米国のエノラゲイやシェアリング、アイルランドのラブなどとも互角に戦える馬だと信じています。
アーモンドアイを超える脚の強さにスピードの磨きをかけて、世界女王を目指して欲しい女の子です。

デアリングタクトの全成績とレース動画

日付レース/動画着順馬場斤量タイム
2019/11/16新馬戦1着京都1600・良541:37.7
2020/2/8エルフィンステークス1着京都1600・良541:33.6
2020/4/12G1桜花賞1着阪神1600・重551:36.1
2020/5/24優駿牝馬G11着東京2400・良552:24.4
2020/10/18秋華賞G11着京都2000・稍重552:00.6
2020/11/29ジャパンカップG13着東京2400・良532:23.2
2020/3/14金鯱賞G12着中京2000・重552:01.8



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