凱旋門賞の前売りオッズで、アイルランドの3歳牝馬が女王エネイブルとデットヒートを繰り広げています。
英ダービー馬より速く、3歳の怪物と呼ばれたエネイブルに勝る時計でゴールし、ブックメーカーは凱旋門賞オッズの一番上にもってきました。
その後キングジョージで圧勝したエネイブルが抜き返し、現在ラブは2位につけています。このラブは、凱旋門賞で1着になれる馬なのでしょうか?
エネイブル陣営を震撼させたラブの走り
英国オークス
40メートル高低差のコース
まずダービーとオークスの舞台、エプソムダウンズのコース詳細です。普通に走ってるように見えますが、実はとんでもない高低差の馬場なのです。
ゲートを出て向こう正面はずっと上り坂。コーナーにあるてっぺんまで37メートルの高さを駆け上がります。そこからは、ゴール直前まで長い下り坂が続きます。
エプソム・ダウンズ競馬場のコース形状・高低差~英国ダービー・オークス~
英国ダービー・オークスの舞台になる、エプソムダウンズのコース形状と高低差を計測して視覚化しました。遠征する日本馬達が凱旋門賞で顔を合わせる3歳の優駿達が戦うコースは、ロンシャン以上にありえない過酷な2400メートルです。
2020年英国オークス
ラブはスタミナお化け。凱旋門賞の4倍の坂を登っておりた後、9馬身半突き放してゴール。残り600でスパートして、ゴール前の急坂も足が止まらなかった。ラスト2ハロンは22秒76だからね
ラブのペース配分
ラブの1000m通過ラップは、71.5秒位です。エネイブルのオークス時は70.53秒なので、ラブのほうがゆっくりです。序盤から2頭が飛び出して、ここを68秒台で通過して行きました。2頭は直線でガス欠になり自爆マシーンで終了。
2020年英ダービー馬に輝いたサーペンタインは、69秒ちょいでここを通過。逃げ切りましたが、さすがにゴール前2ハロンはあっぷあっぷして24秒48でした。
序盤おさえたとはいえ、2着を1秒半も突き放したラブのスタミナとスピードの持続性は脅威です。
エプソム2400mのラップ比較
ラブ・サーペンタイン・カメコ・ガリレオ
2020年のダービー・オークス馬と話題のカメコ、ラブ父の偉大なるサイヤーガリレオのラップを比較しました。計測地点が変則ですが、だいたいの傾向がつかめます。232m地点 | 820m | 1718m | 2006m | 2410m | |
---|---|---|---|---|---|
Galileo | 18.40秒 | 57.50 | 115.60 | 130.60 | 153.27 |
Love | 18.30 | 58.90 | 115.00 | 131.30 | 154.06 |
Serpentine | 17.70 | 56.70 | 112.90 | 129.95 | 154.43 |
Kameko | 17.90 | 57.85 | 116.02 | 132.20 | 155.54 |
斤量はみんな同じ57kgだよ。ガリレオは流石だね。サーペンタインは前半飛ばしたから何とも言えないけど、カメコは坂は上がれても、スタミナがイマイチだね。因みにエネイブルの時計は154.13秒だよ。ラブの勝ち。
ラブの血統
ガリレオと母父ピヴォタル
ガリレオはクールモアの看板大種牡馬だけど、オカンのピカブーは適正なしで一走もしてないけどな・・
オブライエン厩舎のガリレオ産駒たちは、たいていこんな配合ですね。マジカル、マジックワンド、AVD、ジャパン、ハモーサみ~んな同じパターンで、ラブは母父ピヴォタルと母母ディンヒルの二段構えです。
ラブの全姉
1歳上のお姉ちゃんは、パッと見ラブそっくりなピーチツリーです。1年前に同じく英オークスに出走し10着でした。
全姉ピーチツリー英オークス動画直線まで先頭でレースを牽引し、スタミナがもたず沈んでしまいました。
スピードにも恵まれていないのか、2400以上の距離で頑張っていますが、成績はあまり奮いません。
凱旋門賞でエネイブルに勝てるか?
エネイブルより4キロも軽い斤量
3歳牡馬56.5kg 牝馬54kg
4歳以上59.5kg、牝馬58kg
2018年の凱旋門賞で、3歳のシーオブクラスの猛追をうけエネイブルが僅差で勝ったシーンの背後には、4キロの負担重量差がありました。4歳以上59.5kg、牝馬58kg
今年も同じシーンが繰り返されるか、女王の前でゴールするかは、天候によるところが大きそうです。
乾いた良馬場なら、ラブが勝つチャンスは大いにありそうですね。しかしラブは道悪が苦手。
ラブは道悪が苦手
あらま~ラブちゃん悪路だとまったく進まない!違う馬になっちゃってる。去年8月カラのG2・1400mの動画だよ。馬場はYielding、日本でいう重よりの稍重。
これまで9戦5勝の成績で、負けたのは新馬戦と悪路です。10月は雨が降りやすく、馬場も状態もあまり良くないロンシャンです。運を味方につけなきゃ勝てそうにありません
凱旋門賞当日の馬場状態がsouple 3.5以上だったら、危険信号の点滅ですね
ガイヤースが作る速いペースに対応できる?
英オークス・ヨークのオークスのペース
エプソムオークスのペース
英オークスは2頭の馬が飛びだして、無茶なレースをしました。ラブを含めてほかの馬は冷静で、ラブは最初の1000mを71.5秒と遅いペースで通過しました。これが活きて、ラスト3ハロンをあのスピードで駆け抜けることができました。
エプソムオークスのペース
ラブは、先行したマヌエラデベガの後ろで1000mを65.37秒で通過しました(実際は千よし少し長い)。1年前のエネイブルは65.85秒でした。直線のスパートにそなえるため、10Fのインターナショナルステークスでも前半おさえて力を温存するのが一般的です。
空気を読まないガイヤースはそうじゃない。今回は61秒台で通過してました。タイムは去年と大差なくても、あの馬がいるだけでペース配分が天と地ほど変わるよ。厄介な馬です。
初めてガイヤースの洗礼をうけるラブちゃん、本当に凱旋門賞馬になれるかな?
ラブとエネイブルのラップ比較
ヨークシャーオークス
馬名・斤量 | 1-5ハロン | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 走破時計・上がり |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
エネイブル60kg | 65.85秒 | 12.88 | 13.20 | 12.46 | 11.40 | 11.12 | 11.05 | 11.98 | 2:29.90(34.15) |
ラブ56kg | 65.37秒 | 12.70 | 13.35 | 12.08 | 11.50 | 11.21 | 11.95 | 12.73 | 2:31.31(35.88) |
エネイブルは粘ったマジカルを突きはなし、ラブは5馬身ひらいた一人旅ゴールでした。
「凱旋門賞で消すのは早い」英ダービー馬サーペンタインの能力
「まぐれで勝った英ダービー馬」と呼ばれるサーペンタイン。知れば知るほど、凱旋門賞で消したくなくなります。ロンシャンの登りが倍あれば本命にしたい3歳牡、消すのは一読してからでも遅くないかも!
「凱旋門賞の謎馬」オッズ4位のRaabihahラービアって何者?
知られてないけど高い評価の謎馬ラービアは、凱旋門賞で勝ってしまうかもしれない牝馬です。女王エネイブルを差したのは、アイルランドのラブではなく、Raabihahだったという結末になるかもしれません。シーザスターズのスピードを受け継いだ、フランスの3歳女王ラービアってこんな馬です。
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