「スノーフォール」ディープインパクトの娘は凱旋門賞で勝てるか検証

2021凱旋門賞

ノーザンファームで生まれた牝馬が、英国のエプソムオークスでド派手な勝利。父はディープインパクトです。

ディープの産駒が、高低差40メートルのエプソムの馬場で勝った?ちょっと信じがたい事件です。
スノーフォールは過酷な登坂コースで16馬身の着差をつけ、上がり35秒台の最速タイムで優勝しました。この勝利を受け、凱旋門賞の優勝候補の筆頭に躍りでています。
今年のアーク馬はスノーフォールに決定?本当に凱旋門賞を勝てそうか、検証します。

凱旋門賞3歳牝馬斤量は55キロ

4歳上:牡馬59.5kg 牝馬58.0kg
3歳: 牡馬56.5kg 牝馬55.0kg
力のある3歳牝馬は、毎年オッズ上位に祭り上げられます。古馬が60キロ近く背負うのにたいし、3歳牝馬は55キロです。57キロでエプソムを走破したスノーフォールにとって、55キロは余裕でしょう。

2021英オークス・稍重

高低差40メートルを斤量57キロで優勝


区間ラップ

馬名走破時計前半1000mF6F7F8F9F10F11F12
Snowfall2:42.6772.58秒14.5814.2013.1012.7311.9111.5212.01
1000メートル通過に1分12秒もかけて亀かよ・・?と思うかもですが、下のリンクのコース詳細を読めば、遅い理由がわかります。
エプソム・ダウンズ競馬場のコース形状・高低差~英国ダービー・オークス~
英国ダービー・オークスの舞台になる、エプソムダウンズのコース形状と高低差を計測して視覚化しました。遠征する日本馬達が凱旋門賞で顔を合わせる3歳の優駿達が戦うコースは、ロンシャン以上にありえない過酷な2400メートルです。
坂を登りきったあと中盤のペースはゆるみましたが、スノーフォールだけ直線の脚が違いました。
上体を沈めて飛ぶように走るディープの走り方ではありませんが、この末脚はやっぱディープインパクトでしょう。

冬のあいだに大成長

ダメな2歳女子から怪物へ

2歳時代は7戦1勝、1-0-2-4の成績です。シェールのような速い馬にスピード負けする印象がありました
G1級の牝馬だと考えていたが、去年はがっかりの連続だった。だが冬のトレーニングで力をつけ、距離延長で花ひらいたね

Musidora StakesG3

スノーフォールの3歳初戦は、ヨーク競馬場の3歳牝馬戦G3ムジドラ・ステークス(動画)です。
平坦なヨークの稍重2050メートルを2分15秒18,上がり34.73で勝ちました。

スノーフォールの不安

印象が実体に勝ってないか?

凱旋門賞に出走するトップホースたちは、同じコースのInt’l Stakesを2分5~7秒台で走るよ。稍重だとユリシーズが2分12秒台で勝ってるね。スノーフォールの馬場は7.1、ユリシーズの6.6ときより若干悪いけどね。
前年のムジドラSの勝ち馬、ローズオブキルデアの勝利時計は2:10秒80です。馬場状態はユリシーズと同じ程度の稍重です。
この時点のスノーフォールでは、通しでみたスピードが不足しています。末脚を発揮するには、どこかで緩む場面がいるのではないか?疑惑があります
スノーフォール遅い疑念は、後述する8月のヨークシャーオークスで木っ端みじんに吹き飛びました!



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英ダービー馬と時計比較

Adayarの走破時計は6秒も速い

英ダービーの勝利時計は2:36.85です。スノーフォールは2:42.67です。
ダービーはオークスの翌日開催ですが、馬場状態は同じ稍重、ゴーイング棒の数値も7.2と同値、斤量も57キロで同一です。日中降雨の影響でオークスのほうが重かったかもしれません。
スノーフォールが衝撃の末脚を繰りだせた秘密は、

坂を登ったあと直線コーナーまで降りてくる区間のスピードが異常にゆるんだからです。登坂スピードが速かったぶん、この区間が平均ペースを3秒下回りました。

ここでバッチリ息が入りました。

ほかの馬がバテでて続かなかったことを考えると、スノーフォールは立派です。しかし
古馬のトップホース連中が、レース中に休憩タイムをくれるほど親切だとは思えません。秋にむけてもっと成長が必要でしょう
次走は愛オークスを考えてたが、フランキーに「怖れるな、早めに古馬と対決させるほうが良い馬」と助言されたんだ。キングジョージや凱旋門賞へ出走は大いにありうる
古馬と走ってどうかは、気になるところです。残念ながら、デットーリ騎手が進言したキングジョージはパス、愛オークスからヨークシャーオークスへ向かうシーオブクラスローテになりました。

愛オークスも8馬身差で制覇

スタミナは太鼓判


馬場状態:Good 走破タイム:2:34.36
馬場コンディション、距離、斤量58.4キロとすべて条件が同じの愛ダービー覇者、ハリケーンレーンの時計は2:33.85でした。
驚くほど速くはありませんでしたが、歴代の女傑に劣るところはありません。

名牝たちの愛オークス時計

2010年SnowFairyGS2:34.80
2017年EnableGF2:32.13
2018年Sea of ClassGF2:32.54
2019年Star CatcherG2:34.49
今後もG1勝利をあげ、女傑に列せられる未来が見えます。次はヨークのオークスです。

時計おそい疑念を大返上ヨークシャーオークス優勝

この馬バケモノ

距離と馬場状態:2471.9メートル  1m3F188yd Good
走破時計:2分26秒61
ペースと上がり:35.78秒 先頭千通過(1071.9mね)62.14


スノーフォールの区間ラップ

スノーフォール56キロワンダフルトゥナイト60キロ
※千通過63.94秒(59.64)63.0秒(57.76)
6F12.0112.30
7F12.7212.87
8F11.6911.61
9F10.4710.78
10F11.1711.87
11F11.6512.44
12F12.9613.18
走破タイム2:26.612:28.05
上がり35.7837.49
直線向くと、相手のワンダフルトゥナイトがスパートを開始します。残り900メートルあたりです。
ムーア騎手がスノーフォールをうながすと、2歩で加速し捕らえに行きます。残り800から600までの区間、スノーフォールが刻んだラップは10秒47。前日のミシュリフに勝っています。
すんごいハイペースだよ。千通過は(実際は1072メートル※計算でジャスト1000に修正すると)逃げた馬は58.44秒、ワンダフルトゥナイト58.76、スノーフォール59.64秒。こんなデコボコ馬場で日本並にぶっ飛ばして、残り800からスパートして保つんだもん。スノーフォールはジャパンカップでも勝てそう
残り400で先頭にたってから、後続はついてこれませんでした。当のスノーフォールはけろっと流して4馬身差で優勝。斤量差が4キロあったとしても、驚嘆のスタミナとスピードです。
凱旋門賞有力馬たちの陣営は、青ざめて静まり返ってるんじゃないですかね・・めぐり合わせを嘆くしかないとんでもない牝馬ですよ
良馬場が苦手なワンダフルトゥナイトも、歴代でみると速い時計でした。エネイブルやシーオブクラスが2分30秒前後で走破するレースです。
ワンダフルトゥナイト陣営はスノーフォールがヴェルメイユ賞に来るなら混合戦のフォワ賞を目ざすと、さっそく方針変更を発表しました。(がフォワ賞の直前、調教中の怪我で引退)

G1ヴェルメイユ賞まさかの2着

敗因はスローペース?

馬場状態:3.2良
勝利時計:2:31.99(スノーフォール2:32.22)
上がり34.32(34.16)


レースを牽引し先行勢を疲れさせる役目のLa Jocondaの千通過は66.28秒、1400mラップは1分32.30秒です。
馬場が良い時は1分25.6秒ペースが普通なので、こんなに遅い流れでは疲れそうにありません。スノーフォール鞍上デットーリ騎手は、ラジョコンドに騎乗したホリードイルを非難。
残り500で促されたスノーフォールはピッチを上げたものの、おなじみの爆発は不発。ドスロー好きのティオナに1馬身届きませんでした。

凱旋門賞勝利の不安要素

フランスの道悪を走れるか?

英愛とフランス馬場の道悪は、まったくの別物だと昨年しりました。


英国の丘陵地の重馬場とは違い、フランスの河が運んだ土壌が含水すると、田植え前の田んぼになるようです。土がねばり足にまとわる馬場は、なれない馬にとって大きな障害です。
ここ2年、凱旋門賞の馬場はまさにこれでした。エネイブルのような道悪をものともしない馬でも、慣れたフランス勢に敗北しました
スノーフォールは重馬場もこなしますが、ロンシャンが超道悪になっても素晴らしい末脚を披露できるかどうかは今のところ謎です。

ラビット不在?

ペースメーカーのLa Jocondaは凱旋門賞にエントリーしていません。スノーフォール自身もです。追加登録の〆日は9月29日。
エントリー馬の顔ぶれを見ても、控える馬が多いような気がします。誰が行くのでしょうか。ブルームが捨て身で飛ばして行くのでしょうか?
英ダービー逃げ勝ちしたサーペンタインは登録してる。坂からぶっ飛ばして貰えばいいじゃん。
ざんね~ん。サーペンタインは最近オーストラリアの大馬主に売却され、クールモアの所有ではなくなりました。獲得賞金が少なすぎて出走できるかどうかすら分かりません・・



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